国内最古の蒸留酒である泡盛、
独特の匂いがあるとかアルコール度数が高くてちょっと、など、本州に暮らしていると馴染みの薄い泡盛と言うお酒は、まだまだマイナスイメージも強かったりもしますが、
泡盛も他のお酒の同じく、何百年もかけて、沖縄の人々の暮らしの中で作られてきた文化、おかしな酒であるはずも無いと言う話、
ことのほか、南の島々が好きで(母親の故郷)、彼の地の酒が嫌いじゃないのは私のルーツがそうさせるのかも。そんな泡盛を書き綴りたいと思います。
飲み方はお好みでOK
銘柄によってはもちろん、自分のご贔屓な島の酒蔵など、味の好みもあるし、好きに飲めばよいと言うのが泡盛の飲み方だと思ってます。
一応、古酒(クースー)と呼ばれる何年も熟成させた泡盛はストレートやロックで、今では日本中、ご近所のスーパーやコンビニでも手に入る、熟成期間が3年にも満たない、一般酒と呼ばれる泡盛は、水割りなどが進められるかと思いますが、好きに飲めば良い!本当にこれに尽きます。
最近の私のお気に入りと言うと、一般酒のコーヒー割、さんぴん茶とかウーロン茶割り、シークワーサー割にウコン割り、今では泡盛ベースのカクテルなども珍しくなく、匂いがとか度数が高い大酒飲みの酒、みたいなマイナスイメージは過去のものになった感があります。
泡盛は確かに、変わりましたからね、何十年も前の泡盛は、私の中でもなんて臭い酒だ、って記憶がありますが、こうして泡盛を好んで飲むようになった今、時々あの頃の匂いを思い出させる銘柄に出会うと、ニヤリとするのは、齢を重ねて酒の味が判るようになったってことでしょう。
そういう昔ながらの匂い強めの泡盛は、沖縄の郷土料理をつまみながら、ロックでチビリチビリと舐めるように楽しむのが好きです。
泡盛の楽しみ方
一番気になる飲み方に続いては、泡盛の楽しみ方。
「愛でる」「食べる」「育てる」「手に入れる」そこには笑顔で人が集まる、色んな泡盛の楽しみ方を御覧ください。
酒器を楽しむ
泡盛には、琉球ガラスのグラスが似合います。というか、ロックに水割り、冷たい泡盛飲むならば、これしか考えられないってぐらい、泡盛には必須のグラスです。
琉球ガラスは、物資のなかった戦後、アメリカ軍の基地で廃棄されたビールやコーラなどの瓶を溶かして再利用して作られたのが始まりだと言う、ザ・オキナワなグラスです。
琉球ガラスは、平成10年にようやく伝統工芸品に指定され、私も色んな琉球ガラスを愛用しています。
そしてこちらは、琉球グラスが普及するまでは、このカラカラと呼ばれる、我々も内地で目にする徳利の様な形をしたものや、抱瓶や鬼の腕と言った酒器が使われていたとのこと。
そもそも、グラスが使われるようになったのは、冷蔵庫の普及した戦後以降の話、泡盛も氷や水を入れて飲まれる様になり、琉球ガラスは広まったとのことですが、オキナワに昔からある壺屋焼のカラカラなどは味があって、これに日本酒を入れたりして楽しむお気に入り、画像はもちろん、マイカラカラです。
泡盛と肴
泡盛が日本酒やウイスキーやワインと違うものの一つに、絶対外せないのは、沖縄地方の郷土料理絶対に必要かと思うのですがいかがでしょうか。
例えば画像は豚バラ肉を煮込んだラフテー。トロトロの豚の脂を泡盛で流しながらいただきます。香り強め、度数高めの泡盛をロックでいただきたい!
こちらも沖縄郷土料理定番のチャンプルー。チャンプルーは一般酒を水割りとかソーダ割りがよろしいかと。
色々な泡盛を楽しむという幸せは沖縄の郷土料理と共にあります。
古酒(クースー)を育てる
三年以上熟成させた泡盛を古酒と読んでも良いと言う決まりがあって、クースー泡盛を買い求めて我々は楽しんで居る訳だけれど、泡盛には「を育てる」と言う楽しみ方があります。
育てると言うのは、賞味期限が無いという泡盛(蒸留酒)ならではの楽しみで、甕に入れられた泡盛を寝かせて置くわけですが、ただ寝かせて置くだけでは無く、毎年一定量の寝かせた置いた泡盛を汲み出して、同量の若い酒を継ぎ足す「仕次ぎ」という儀式をしながら、5年、10年と育てて行くのです。
沖縄には、泡盛に対する並々ならぬ愛着を感じるエピソードとして、子供が生まれたら新しい甕に泡盛を仕込んで二十歳になったら一緒に飲むと言う楽しみが存在するそうです、さぞかし美味い酒になるでしょうね。
もう10数年も前の話になりますが、観光で半日たっぷりと蔵元巡りとか観光で乗せてもらった個人タクシーの運転手のおっちゃんは、トランクルームに泡盛を沢山乗せていて、常に揺らしながら寝かすと旨い酒になるんだ!ともう三年経ったと言う四合瓶をプレゼントしてくれました。
今は泡盛を作る蔵元が預かってくれて、5年後10年後に送ってくれると言うサービスもあるそうで、何か記念日に向けたそんなサービスを利用するのも良いかもしれませんが、どうせなら自分の手で育てて飲みたいと思うのは酒飲みの性なのは間違い無いと思います。
レアな泡盛を楽しむ
入手困難な泡盛と言うのが存在してて、そういうレアな銘柄を友人知人が集まった際にどうだと言わんばかりに差し出して、乾杯するというのは実に楽しい催しです。
画像の波照間の「泡波」などは、生産量が極めて少なく、島内消費がほぼほぼメインで、波照間へ行った友人知人が、時折こうしてプレゼントしてくれると言うレアな泡盛です。
他にも例えば限定品だったりするのも入手困難だったりしますね。
与那国の「どなん30度」とかほんとに手に入らない泡盛が色々ありますが、正直、お金さえ出せばなんとかなるとか言う銘柄は少なくないですし、実際プレミアムな価格で販売されているのを見るとなんだかなー、と思いますね。
私はやっぱり酒は飾るよりも、友人知人と飲んで楽しみたい、と思うクチなので、レアな泡盛をずらっと並べるのは遠慮しておきます。
コーレーグースを作る
沖縄独特の調味料に、コーレーグースと言う物があります。これが色んな沖縄の郷土料理にピッタリな万能調味料で、独特の香りとピリッとした辛味が特徴、チャンプルーに沖縄そば、冷奴にラフテーとか、何にでも合い、沖縄郷土料理には欠かせない調味料です。
これって、実は泡盛に沖縄の島とうがらしをつけただけの物で、もちろん、沖縄の物産展などに行けば、内地でも入手可能ですが、自家製のコーレーグースーはまた格別。島とうがらしを手に入れたら泡盛の四合瓶に漬け込み、自家製コーレーグースーを作ります!
余談ですが、泡盛そのものを豚の角煮を作る際の調味料として使ったり、泡盛は本土の日本酒の様にも使われます。
蔵元を尋ねる
沖縄県下には、48もの酒造所があります。
県内に48もの酒造所が散らばっている訳ですから、沖縄旅行の楽しみの一つとして、好き者としては行かない理由は無い、と、毎回彼の地へ飛ぶ度に、一つの蔵元を尋ねることにしています。
蔵元めぐりに民謡酒場と焼き物見物が私の沖縄必須コースです。
見学を受け付けていない蔵元もありますが、予約すれば可能なところなど、ありますので、是非にとおすすめしておきます。
見学に行かないと絶対に飲めないという古酒を飲ませて貰ったりしたこともありますし、レアな泡盛と出会うこともしばしば。蔵元見学は泡盛がますます好きになること、間違いありません。
画像は首里の銘酒、瑞泉さん。
泡盛と黒麹菌
せっかくなので、泡盛がどんなお酒なのか、と言うことにも少しだけ触れて起きます。
泡盛はタイ米に水と酵母を加え発酵させ蒸留し造られます。原料はタイ米と言うのが、酒飲みとしては不思議。
常日頃、やれ純米酒がと、米のお酒を痛飲しているんで、何故タイ米?と思ってしまうわけです。
ところが、当然の話、500年も前から変わっていないと言うからには、タイ米を使うのには必然だと言う理由があって、「黒麹菌」の存在がそれです。
黒麹菌は殺菌力が強く、高温多湿の沖縄の気候での酒作りに最適なんだとのこと。
その黒麹菌が菌糸を伸ばしやすいとか、一番相性の良いのがタイ米で、実際に、日本の米で泡盛を作ろうとした試みも過去にはあったらしいですが、ことごとく失敗したとの話を聞きました。
近頃では、九州の芋焼酎の酒造所も黒麹菌を使った焼酎をアピールして販売しているのを普通に見かける様になったと思いますが、何気に眺めている黒麹菌は、沖縄発だったという泡盛ファンとしてはちょっと誇らしい話。
全麹仕込み(ぜんこうじしこみ)っていう作り方など、泡盛製造の話は沢山ありますが、酒好きには割とどうでも良い話、気持ちよ美味しく飲めればそれで良し、ってことでこれぐらいにしておきます。
まとめ
泡盛はこんなにも美味しいんだ、他のお酒とは違う楽しみがあるんだよ、と言う話を書いてみました、
現在沖縄には識名酒造にある約150年物が一番古い古酒だと言われています。
先の沖縄戦までは、それこそ、沖縄王朝時代から受け継がれた、二百年とか言う物まで存在したと言いますが、識名酒造は地中深くに埋めていた幾つかの龜が戦果を逃れたのだとか。
私が、その古酒を口にできることは無いと思いますが、戦後80年を過ぎ、各蔵元が大事に育てている古酒を飲むことが出来るかもしれませんし、私が手元で育てている泡盛は、私が生きている間、何年物まで育てる事が出来るだろうかと、春先に行う仕次ぎを楽しんでます。